兵庫県が運営!移住ポータルサイト

【神戸市北区】仕事と両立し、憧れの田舎暮らしを楽しく実践する中で見えてきたもの

神戸市北部に位置し、美しい田畑が広がる大沢町(おおぞうちょう)に移住したのが石田篤さん、綾子さん夫妻。二人とも昔から農村での暮らしに憧れていたそうです。自分たちが目指す暮らしができる場所を探す時に大切にした選択基準は「子どもたちが通う学校が今後も継続するかどうか」「今ある景観がこれから先も続いていくかどうか」「職場まで最大でも1時間ぐらいで通えること」でした。

憧れの暮らしだからこそ、未来を見据えて

石田篤さん(左)綾子さん(右)ご夫妻

篤さんは大阪、綾子さんは静岡と生まれは違う二人ですが、共に20代の頃から農業に興味がありそれぞれ活動をしていたそうです。その後、大阪で出会って結婚し、二人の子どもに恵まれ、上のお子さんが小学校へ入学するタイミングで憧れの田舎暮らしを始めようと移住先を探すことに。

2017年に兵庫県が主催した「就農希望者バスツアー」の参加をきっかけに、大沢町を知ったといいます。

「移住しても、その後5年、10年で荒れていくのであれば意味がないと思っていて……。大沢町は丁寧に畔草刈りをしていたりと、景観の維持を住民の方々が意識的にされていたんです。こんな乱開発されずに残っている場所が近くにあるなんて、正直びっくりしました」

移住を決めてから実際に暮らすまで1年以上かかりましたが、移住要件を明確にしたところ、神戸市の職員や地元の方の協力もあり、この場所を紹介してもらうことに。先祖代々受け継がれてきただろう畑も一緒にという条件で、移住先が決まったのです。

周辺の景観のことも考えながら、リノベーションしたという一軒家

大沢町に移住して良かったことを伺うと、「子どもたちが、のびのび暮らしてくれている」と篤さんは言います。お子さんが通っている小学校は1学年が10人ほどで、全校生徒を合わせても約60人なので、子どもたちが学年を問わず交流できることが大きな利点だと感じたそうです。また、新興住宅街に近いため、習い事も充実しています。

自分たちのためから、地域のための農業に

「移住暮らしが始まって、せっかくなので自分たちが食べるものを自分たちで作ることにしました。買った方が安いものもありますが、時給換算ではなく時間をかけて暮らす方が楽しいと思っています」

家の裏側にある棚田では4人家族なら半年は持つくらいのお米が収穫でき、畑では年間で50~60種類の野菜を栽培。鶏小屋もあり、毎日新鮮な卵も食べられると話してくれました。

ここでは、“岡崎おうはん”という純国産鶏と烏骨鶏を飼育しています

農業を始めると、野菜などが思いのほかたくさん収穫できたので、立ち上げたのがネット販売『さとのくらし farm』。篤さんはこれまで通り会社勤めを続けながら、週末にトラクターなど重機を扱う作業を担当。綾子さんは細かく作物に目を配って有機野菜などを栽培し、産直ECサイトを活用して出荷しています。

4000㎡もあるという畑では、季節ごとに旬の野菜を栽培しています

自分たちが食べることがゴールだった農業。いつしか採れた野菜を活用し、地域のためになる取り組みができないかと考えるようになったと石田さんご夫妻。

「神戸の人に野菜を定期的に買ってもらえる関係性がつくれないか考えていて……。例えば、月に1度ここに来てもらって、自分の食べている野菜が採れる畑を見てもらうことで、地域のことを知ってもらう。そんな機会が作れたら面白いと思っています。ここで作られた野菜を食べ続けることが、この町の景観を良くすることにもつながるような取り組みができたら」と新たな夢を語ってくれました。移住したことで、自分たちの暮らしを充実させる以外の目標ができたのです。

移住者として地域の役割を担うような存在に

自分たちで木を割り、乾燥させて1年で薪として使えるようになるそう

ここで暮らしながら、移住者としての役割をどう果たすかを考えているという篤さん。早い段階から地域行事に顔を出していましたが、最近は近所の神社の初詣を準備する宮当番にも楽しみながら参加しています。

「代々ずっと暮らしてきた人たちの中で、たとえ10年たっても我々は移住者だと思っています。だから、そんな人たちから声をかけてもらえて、役割をもらえるのはうれしいんです。できることを増やし、いずれは村の役をし続ける覚悟で移住した方がいいと思っています」

「いいなって思う農村の風景は勝手にできているのではなく、そこに住んでいる人が作っていると思っています。大阪にも通えるぐらいリスクなく移住はできる。でも、街の価値観のまま暮らしていると将来人口が減ったとき、素敵と思っている景観や文化がなくなってしまう。だから村の人がやってきた大事なところを継承するのが、役割なのかなと思います」

「『移住してきてくれてよかった』と言ってもらえる移住者になることが目標です」と語るご夫妻。いつまでもこの美しい景観を見ることができるよう、石田さん一家の楽しい試行錯誤の日々は続いています。

移住者インフォメーション

移住者  石田篤・石田綾子
移住年  2019年
出身地  大阪府堺市・静岡県藤枝市
移住先  神戸市北区大沢町
活動拠点 さとのくらしfarm

関連記事一覧