株式会社協同病理(神戸市西区)〔医療関連サービス(病理学的検査・各種標本作製)〕

診断課係長 臨床検査技師・細胞検査士

河野徳子さん

技術課 臨床検査技師

高杉瑠美さん

兵庫県広報専門員

清水奈緒美(インタビュアー)

 

目次

1.わたしの仕事-病理学的検査って?
2.仕事で心がけていること―顕微鏡の向こうには「ひと」がいる
3.仕事のやりがい―治療の研究に役立つお手伝いも
4.会社の社風―変えたいことは、社員で決める
5.多彩なひょうごライフ―子育て世代にも恵まれた環境
6.社会とのつながり―生物学を身近に感じてもらうサイエンスボランティアも

 

1.わたしの仕事-病理学的検査って?

【兵庫県広報専門員 清水】河野さんの担当業務を教えていただけますか?

【診断課係長 河野さん(以下「河野」)】私は診断課に所属しており、病理学的検査の中でも主に細胞診検査を担当しています。わかりやすく言うと、体の中のがん細胞を探す検査です。例えば、子宮頸がん検診の場合、子宮入り口の細胞を特殊な染色で染め、顕微鏡でがん細胞や他に病気がないかを確認し、検査結果を依頼元の医療機関等に報告し、診断を促します。管理職なので人材育成も仕事のうちです。

【清水】高杉さんの担当業務はどのようなものですか?

【高杉さん(以下「高杉」)】技術課に所属し、入社4年目です。病理学的検査の中でも「研究・治験研究の受託」が主な業務です。病院・企業・大学の研究所などの研究の全部または一部の請け負いです。

【清水】具体的にはどんな検査をされるのですか?

【高杉】例えば、薬剤を実際に人間に投与する前には必ず動物実験を行うのですが、モデルマウスに薬剤を投与した際に効果があるかどうかを標本上で確認したりします。

【清水】大学や製薬・食品企業等の研究機関ではできないようなことをこちらの会社ではされているんですね。

【河野】まったくできないといったら語弊があるのかもしれませんが、当社は「病理学検査」だけに特化して業務を行っているので、それが強みだと思います。

【清水】病理のスペシャリストですね。

【河野】そうですね、その辺は経験と技術がたくさんありますので、いろいろお力添えができるのではないかと考えています。

 

2.仕事で心がけていること―顕微鏡の向こうには「ひと」がいる

【清水】日々、顕微鏡・ミクロの世界で戦っていらっしゃる中で、どういったときにこの仕事をやっていてよかったと思われますか。

【河野】私たち検査技師は直接患者様と接することはなく、日々細胞と対峙します。患者様がどういう症状を訴えられ、どのくらい体調が悪いのかもわかりません。でも意識の中でこれは「ひと」であり、検査結果を不安な思いで待っている患者様が向こうにいるという事実は忘れないようにしています。あるとき、個人病院の先生からお手紙をいただいたことがあります。先生ご自身でされた検査では異常がなかったようなのですが、私が行った細胞診検査では「もしかしたら悪い細胞かもしれないので、精密検査をされた方がいいのではないか」と検査結果をお伝えしたことがありました。先生は、その検査結果をもって患者様に大きな病院を紹介したところ、初期の膀胱ガンであったことがわかったそうで、「大変感謝しています。今後ともよろしくお願いします」との内容でした。検査結果を持って、大きな病院を紹介するという決断は先生のすばらしい采配です。そのお手伝いができたことで、細胞という「モノ」として対峙していますが、「ひと」の命を預かる仕事に就いているんだなぁと感じることができ、本当に役に立ててよかったと思いました。

 

3.仕事のやりがい―治療の研究に役立つお手伝いも

【高杉】私は患者様に近い仕事というよりも、研究に近い仕事が多いです。依頼も様々で、「材料はこれで、こんなことがしたいんですがどうしたらいいですか?」といった漠然とした依頼も舞い込んできます。

【清水】決まった検査以外も依頼が来るんですね。

【河野】高杉は、そのような依頼が多いですね(笑)。依頼される先生も、こちらが病理の専門だと思っていただいているので、「どうしたらいい?」とよく聞かれます。

【高杉】依頼主の希望も叶えつつ、こちらの最大限の知識、技術を使いながら試行錯誤します。一度、依頼主の大学の先生の胃から採取した検体(細胞)を取り出して検査をしていたのですがなかなか思った結果が出ず、何度も何度も試してみるのですがうまくいかなくてどうしようとかなり悩みました。毎回検体を取るために先生に胃カメラを飲んでもらってるので。

【河野】痛い思いをさせてるもんね。

【高杉】そうなんです。何度も何度も。悩みに悩んでふとまったく別の検査で使っていた試薬を思い出して、試してみるとうまくいって「やった」と思いました。先生や同僚とああでもない、こうでもないと考えながら結論に導けたときは、今後の胃の治療に役立つ研究のお手伝いができたのかなと思いました。先生にもご満足いただけて。ご礼状をいただき、また論文に名前を載せていただいときはとてもうれしかったです。

【清水】お話を聞いていると、普通にイメージする病理の検査の世界ではなくて、研究みたいな、何か細胞を発見しましたみたいなことに近いような感じですね。

【高杉】近いとは思います。私たちのやっていることはほんの一部で、概要を知らずにやっていることが結構多いんです。ただ、そのお手伝いができるというのはやりがいがあります。

 

4.会社の社風―変えたいことは、社員で決める

【清水】河野さんは現在3回目の育児休暇中で、しかも育児休暇取得第1号ということですが、育休制度はどうでしたか。取りやすかったですか。

【河野】はじめの育休を取った時は制度としてはありましたが、誰も利用したことはく、内容も全く充実していませんでした。なので小川(社長)にも妊娠を報告したときに「続けられないと思うので辞めます」と話をしました。ところが、1時間くらいの間に5、6回は「辞めます」と言ったと思うのですが、絶対「うん」と首を振りませんでした。それから1、2日して「制度がなかったら作ればええやん。なんでそれがあかんのや」と。一人のために会社の制度を変えるなんて頭が全くなかったので驚いたのですが、そこで初めて社員によるプロジェクトチームを立ち上げました。

【清水】そこがきっかけなんですね。

【河野】はい。それを機に会社全体の制度を見直そうと介護休暇や福利厚生含めてすべてを見直そうと取り組みを始めました。

【清水】プロジェクトチームでは、育休だけではなくて社内環境、働き方の改善にも取り組んでおられるそうですね。

【河野】それがおそらく当社が注目されるところだと思います。すべて社員が決めるので、自分で変えていけるという恵まれた環境です。

【高杉】会社のここを変えてほしいという意見があれば、実際に変わる変わらないは別として、プロジェクトチームの議題には挙がります。どの方法だったらいいのか案を社員で出し合えるので、そういう意味ではすごく働きやすいです。

【清水】河野さんは、長年会社におられて、いろんなことに挑戦できる社員、研究者が残っていると思われますか。

【河野】そうですね。若い世代を育てるのは難しいのでなかなか大変ですが、一つでも何か興味のあることを業務の中で見つけてくれれば伸びると思います。当社は専門性を極めるにはすごく恵まれた環境があり、伸びる土台、材料は十分そろっています。私のように専門性も極めたいけれど育休もとりたいというわがままな社員でも何とかやめずに続けられています。

 

5.多彩なひょうごライフ―子育て世代にも恵まれた環境

【清水】高杉さんは香川県、河野さんは福岡県のご出身で、現在神戸、明石にそれぞれ住んでおられるということですが、兵庫での暮らしはいかがですか?

【高杉】地元を悪く言うつもりはこれっぽっちもないんですが、ここでの暮らしは「何でもある」んです。

【河野】すごいわかる、それ(笑)。

【高杉】いつでも、どこにでも行けるんです(笑)。

【河野】都会の空気があるよね。

【高杉】ちょっと行ったら三宮とか元町とか、都会といいますか、ちょっとおしゃれな感じもありますし、少し北の方に行くと自然も残っていますし、いいところだなと思います。

【河野】何でもあるってすごく大事なこと。

【高杉】就職の時に同じような会社や、製薬会社の研究所をいろいろ見ていたのですが、大きな会社の場合、本社は東京でも研究所は広いスペースがいるのでいわゆる田舎が多いんです。強いこだわりはなかったですが、やっぱり衣食住が充実しているところの方がいいですね。

【河野】神戸市だもんね、はずれでも。

【高杉】「神戸!」っていうと「めっちゃおしゃれやん」っていう会話が田舎では成立します(笑)。

【河野】子育てでも同じで、なんでもあるってすごく大事なこと。私は明石市に住んでいるですが、バスやタクシーなど交通機関も充実していますし、買い物に行く時間がない時はネットスーパーを利用しています。利用しようと思っても対象地域外ですということがない。明石市は子育て施策をすごく力を入れられているので住みやすいです。

【清水】充実した子育て環境がある「住まい」と、「働き場所」とが近いという魅力もありますよね。

【河野】それこそ阪神間でも電車一本あれば全部通勤圏内じゃないですか。それは大きいと思うんですよね。イクメン世代ならここからでも大阪に通えます。午前中子どものお見送りとか、保育園に連れていってからでも十分出勤できます。

【清水】そろっていて、しかも選択の自由まである。ちなみに、高杉さんはどんな神戸ライフを満喫していらっしゃいますか?

【高杉】休みの日は、友達とショッピングやおしゃれなカフェに行くことが多いです。ランチは、西は姫路、加古川くらいから東は神戸の三宮、灘のあたりまで足を延ばします。いくらでも行きたいところがありますね。

【清水】多いですよね。

【高杉】この前は、三木の総合運動公園にサッカーの香川真二選手を見に行ったりもしました。

【清水】子育て世代にとってはどうですか、兵庫県内は?

【河野】兵庫県って日本海側の但馬もあれば淡路島もあるでしょう。主人がバイクに乗る人なので、上の子が小学生になったらバイクの後ろに乗せて、淡路島を一周しようと計画したりしています。娘が通っている小学校が海沿いに建っているので、校舎から淡路島が見えるロケーションなんです。授業でも「浜活動」といって、浜に出て絶滅危惧種を守ろうとか、自然に触れるようなこともしていますね。小さい頃、父に岩場なのか砂場なのかわからないような海水浴場に連れて行かれたような田舎の経験もできます。ちょっと行動範囲を広げれば、姫セン(姫路セントラルパーク)みたいに動物を見られるところもあるし、有馬や城崎のような温泉地、それから美術館・博物館も多いですね。

【清水】確かに美術館などの施設、多いですよね。

【河野】小学生は”パスポート”があってけっこう無料で回れるんですよ。あとは、お金をかけて遊ばせようとすればUSJもありますしね。

 

6.社会とのつながり―生物学を身近に感じてもらうサイエンスボランティアも 

【清水】社会とつながる活動にも取り組んでおられるのですね。

【河野】当社では、サイエンスボランティアを実施しています。学生の理系離れが叫ばれていますが、中学生などを対象に、生物学を楽しく学んでもらいたいと始めました。身近な物質、例えばラーメンの麺だったり、髪の毛だったりを電子顕微鏡で覗いてもらいます。「理科って苦手」「病理学検査って何?」っという壁を取り払う一助になれればと思っています。

他企業との交流会もしています。異種業の方々が集まってそれぞれが持っている技術を他分野に生かしたり。うちの技術を鉄鋼業に活かせるんじゃないかとか話をして、実際にそれが実現することもあります。それも社会貢献の一つではないかなと思います。

【清水】可能性が広がりますね。閉ざされたというイメージとまったく違います。

【河野】そうですね。そういう意味では当社は門戸が広いのかなと思います。

【清水】検査の需要は増えていると思うのですが、検査技師の方は足りているのでしょうか。

【河野】機械の進歩があるので、ある程度は人数が減っても対応ができるのではないかと思います。検査技師の中でも機械化を嫌がる人がいますが、小川(社長)は「機械化できるところはしたらいい。でも機械に負けるな」「機械でできることは人ができて当たり前。機械ができない微妙なラインを人ができなければならない。そこの技を身につけろ」「ただ、機械に使われるな」って言うんです。「はい、ごもっともです」と思って(笑)。日々鍛錬です。

【清水】今回お話をお聞きしておりますと、病理の幅を拡げてさらに形を変えながら前に前に進んでいって、素晴らしい会社で頑張られているお二人だなと感じました。普段は顕微鏡と向き合っておられますが、何よりも人との関係とかアナログな部分を大切にしていらっしゃるからこそ、チャレンジが成功しているのかなとイメージががらっと変わりました。どこよりも人らしいというか。

【高杉】良かったです。

【河野】仕事内容はかなり根暗な仕事ですが(笑)。

【清水】一緒ですね、どこも。

【河野】表舞台には立たないので、私たちは。縁の下の力持ちをしているつもりです。そこで満足できます。

【清水】今日は本当にありがとうございました。

 

協同病理の企業概要

社名

株式会社 協同病理

所在地

〒651-2112 兵庫県神戸市西区大津和2丁目7-12

TEL

078-977-0730 (代表)

FAX

078-977-0732(管理課) 078-977-0731 (技術課) 078-977-0733(診断課)

HP

http://www.kbkb.jp/(外部サイトへリンク)

( 携帯サイト http://www.kbkb.jp/mobile/ )

設立

平成 6年(1994) 12月 21日

代表者

代表取締役 小川隆文

資本金

1000万円

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