都心生活から一転、離島暮らしへ。 地域おこし協力隊として姫路市「坊勢島」に赴任。

坊勢島の魅力を多くの人に伝えたい

姫路市地域おこし協力隊

福井梨絵さん

「選択肢は自由」と考え協力隊へ

景色の美しさと漁船の数に圧倒

「離島に移住する」――。東京表参道のアパレル旗艦店で店長をしていたとき、そう打ち明けるとスタッフたちは一様に驚いた表情を浮かべたといいます。

取材班が島に着いたときは快晴の冬空。 太陽光を受けて輝く漁港に目を見張った

「それもそうでしょう、都心にいると離島と聞いてもイメージしにくいですから。でも思いを伝えると理解して、最後は快く送り出してくれました」

そう話すのは2017年10月、地域おこし協力隊※として姫路市家島町の坊勢島に赴任した福井梨絵さん。

「協力隊に応募してすぐ坊勢島を訪れ、定期船から島におりた瞬間の景色の美しさ、港の漁船の数に圧倒されました。何よりエネルギーにあふれた島だと感じましたね」

 

 

坊勢島奈座港の海から突き出した弁天島は神権(じんごん)さんと呼ばれ、漁師の守護神である弁財天が祀られている

坊勢島は姫路から南西に約18キロ、播磨灘に浮かぶ家島諸島の島のひとつです。住民の7割が漁業に携わり、水揚げ量・金額ともに兵庫県で一、二を争うほど。漁業のまちとしては平均年齢も若く、福井さんが島にエネルギーを感じたのも、漁業の活気がまちに活力を与えているからでしょう。

 

きっかけは、気分転換に出かけた旅先での出会い

坊勢島に移り住んだ福井さんは大阪府八尾市の出身。栄養士を目指して奈良県の短大に進学したのち、アパレルの世界に入りました。

「学生時代に飲食店でキッチンとホールのアルバイトを4年間経験し、その後2年間アクセサリーショップで働いたのがきっかけで販売職に魅力を感じました。そこで思い切って短大を中退し、大阪のアパレル店でアルバイトを始めたんです」

「管理の仕事よりお客様と接する販売職が好きなんです」と福井さん

その後社員に登用され、店長を任されるように。2011年には東京都内に転勤し、表参道路面旗艦店の店長に抜擢されました。その後外国人モデルも愛用するブランドに転職し、同じエリアの路面旗艦店店長に。こうしてアパレル業界で15年のキャリアを積んだのち、島に渡ったきっかけは旅先での出会いでした。

「2017年2月に旅行で長崎県の壱岐島を訪れ、元協力隊の女性が運営するゲストハウスに泊まったんです。その方から移住の経緯や離島での暮らしについて話を聞くうち、協力隊に興味を持つようになりました」

その女性も東京でアパレルの仕事を経験後、協力隊の制度を利用して移住。現地の男性と結婚し、ゲストハウスのオーナーとして充実した日々を過ごしていました。

「私も仕事には恵まれていましたが、打ち込める趣味が少なく休日を持て余すこともありました。さらに販売職をいつまで続けられるだろうという思いもあったんです。一方で私と同じ職歴の人が、いまでは離島でこんなにも輝いている。彼女のような生き方もあるんだと価値観を揺さぶられました」

そう振り返る福井さんは東京に戻って協力隊について調べると、地域によってさまざまな活動形態があると知りました。求められる仕事の内容も幅広く、一度きりの人生の中で「選択肢は自由」と考え協力隊への応募を決意しました。

 

実家や都市部へのアクセスを優先して家島地域に

全国に募集地域があるなか、兵庫県の家島地域を選んだ理由として福井さんはふたつを挙げます。

「ひとつは大阪に住む両親から遠すぎないことです。東京暮らしが長く、両親に心配をかけてきたので、実家への帰りやすさを優先して関西エリアに絞りました」

もうひとつは「生活するうえでの環境変化が大きすぎないこと」でした。

「田舎暮らしの経験がなく、これまでとあまりにもかけ離れた環境だと実際の生活が想像できませんでした。その点、家島地域は新幹線が停車する姫路駅から、バスと船を乗り継いで1時間と少しの距離です。実家や都市部へのアクセスもそこまで不便ではない点も魅力でした」

さらに販売の仕事が好きで、「将来は自分のお店を持ちたい」と考えていた福井さん。姫路市の募集は「暮らし・仕事を知る」「仕事の種をまく」「仕事をつくる」という3年間プランで、将来島内で起業したい人をとくに歓迎する内容でした。その意味でも将来像とリンクしていたのです。

 

島外から人を呼び込む観光マップづくり

赴任初日、市職員の方々が旗をつくって歓迎してくれたそう

2017年10月に赴任して4ヶ月。島の暮らしや仕事を知るために漁業関係のイベントに参加したり、島内の行事や催しを見学したりする日々を送っています。

 

 

 

 

 

 

家島小学校で開催された『いえしまーけっと』に 家島観光事業組合のスタッフとして参加

「地域の人たちに初めて挨拶に回ったときは、『誰だろう?』と怪訝な目で見られました(笑)。でも姫路市の広報や神戸新聞に取り上げていただいたり、地域のお祭り に参加したりするうちに、私のことを知っていただけるようになりました」と福井さん。

 

 

商店に買い物に出向いた際には「コーヒーでも飲んでいき」とこたつを勧められたり、道を歩いていると「乗ってくか」と車のドアが開いたり。「地域の方に受け

 

東京ビッグサイトで行われた『国際ホテル・レストラン・ショー』坊勢漁業協同組合が出展するイベントに参加し坊勢島の特産物を紹介

入れてもらえるか心配でしたが、気にかけてくださる方ばかりで不安はまったくなくなりました」

そんな福井さんが取り組んでいるのが観光マップの制作です。

「坊勢島は自然や海の幸は驚くほど豊かなのに、インターネットなどに観光情報がほとんどありません。そこで島の歩き方や飲食店、商店などを掲載したマップをつくり、坊勢島での楽しみ方を知ってもらおうと考えたのです」

 

企画中の観光マップ。中面は地図や船の時刻表など掲載予定

このマップづくりをきっかけに飲食店や商店に通い、島の人たちとの関係をさらに深めているところです。

 

坊勢島の魅力を多くの人に伝えたい

都市部から地方への移住を考えている人は、アクセス面や生活面でのギャップが気になるはずです。

「その点、兵庫県は新幹線の停車駅も多く、神戸空港も便利です。県内のエリアにもよると思いますが、他府県へのアクセスは良いと思いますよ。さらに都市部から少し離れるだけで田舎の風景が楽しめる点も兵庫県の魅力だと感じます」

一方で「兵庫県は行政サービスの特徴が見えづらい面がありました」と福井さんは言います。

「移住は人生を賭けた決断です。その地域に住めばどんな行政サービスを受けられるのか。そうした情報が豊富にあれば、もっと移住者を惹きつけられると感じました」

市の職員の方々と。右側から上谷所長、福井さん、上田さん

今後は「お店を開きたい」という思いに加え、「坊勢島をもっと知ってもらえるよう自分に何ができるだろうかと考えるようになった」と福井さん。

「たとえば島外の人が気軽に立ち寄れる飲食店を開業し、島の情報も発信できる拠点をつくれたら――そんなイメージも膨らませています。島に住む人は坊勢島のことを本当に愛しているのが伝わってくるんです。島の魅力を多くの人に発信していきたいですね」

そう抱負を語る福井さんは地域の方々の話にしっかりと耳を傾け、いま島が抱えている問題、そして将来問題になりそうなことを見つけていき、島の人たちと共に取り組んでいく考えです。

 

文・写真/高橋武男


 

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