牧場オーナーの暮らし方に魅せられて、 東京都心から兵庫県養父市大屋町に移住。

農業雑誌の編集者から牧場の担い手へ

わはは牧場(兵庫県養父市)

山﨑友香さん

 

兵庫県の最高峰・氷ノ山のふもとのまち、養父市大屋町にある「わはは牧場」。神戸ビーフや松坂牛の素牛となる但馬牛や豚を飼い、アイガモ農法のお米や無農薬の小麦をつくっています。

そんな「わはは牧場」に取材班が訪れたのは2月の終わり。雪の多い地域ですが、天候に恵まれて春の陽気すら漂うこの日、まず牛舎を案内してもらいました。

「こうして牛舎や豚小屋に来て餌をあげ、掃除をするのが朝の日課です」――そう教えてくれたのは山﨑友香さん。2016年から牧場を手伝っています。

「牛舎では母牛(繁殖牛)9頭と子牛、
母牛を卒業した肥育牛を飼育中です」と山﨑さん

山﨑さんは神奈川県横浜市の出身。わはは牧場に来る前は、東京の出版社で農業雑誌の編集者をしていました。

「なのになぜいまここで働いているのかといえば、きっかけは自分で企画した特集記事の取材です。上垣さんご夫婦(牧場オーナー)の話を伺い、経営スタイルや暮らし方に魅せられたんです」

母牛の中でも筆頭株の牛さんとツーショット

牧場のオーナーの働き方、暮らし方に触れて

一般に畜産農家は飼育、加工、販売のプロセスが分業で成り立っています。それに対してわはは牧場で大切にしているのは、餌の生産から飼育、肉の加工、販売までのすべての工程を〝自ら手の届く範囲〟で行うこと。

無農薬で栽培した牧草をロールしラップにくるんで保存。

自給した餌で飼育するのもわはは牧場のこだわり

 

「未来を担う子どもたちに、安心して食べられるものを提供したい」――牧場オーナーの上垣康成さん・美由紀さんご夫婦は、自分たちの思いをかたちにするための試行錯誤を重ね、現在の牧場経営にたどり着いたのです。

「さらに多頭飼育による規模拡大を目指す農家さんが多いなか、頭数を増やすのではなく、繁殖和牛から経産牛、豚、アイガモと家畜の種類を増やされました。その背景にある思いも含めて、上垣さんご夫婦の考えに興味を持ったんです」

以来、山﨑さんは長期休暇を利用して、わはは牧場に足を運ぶようになりました。すると牧場経営だけではない、家族を思うご夫婦の一面にも触れたといいます。

「とにかくご家族の仲がいいんです。いつも自宅に招いていただき、3人のお子さんとも仲良くさせてもらいました。ご夫婦はご家族の時間を何より大切にしながら牧場経営に向き合われている。そんなお二人の暮らし方や働き方にますます魅かれていきました」

康成さんは自分でできることはすべて自作してしまう徹底ぶり。県の許可を得たアイガモ処理場(認定小規模食鳥処理工場)やカフェの建物も手づくりで仕上げました。

 

自力で建設を続け、7年越しで完成した「shop&café があぶう」。

康成さん(右)、美由紀さん(左)と

 

一方の美由紀さんはイラストレーターとしても活躍するなど、ご夫婦そろって多才な能力をお持ちです。

美由紀さんが手がけたわはは牧場のロゴマーク。

イラスト、デザインや人形制作なども

「仕事に人生に楽しんでいるお二人と一緒にいれば、自分ももっと新しい働き方や暮らし方ができるのでは、そんな思いが次第に強くなっていきました」と振り返ります。

思い切って環境を変えてみたい

一方で仕事は充実していました。日本大学法学部新聞学科で報道を学んだ山﨑さんは大学時代から食に興味があり、前述したように農業雑誌を扱う出版社に就職。各地の農家を回って原稿依頼から編集までこなす一方、自ら取材して書く機会もあったといいます。

「自ら志望した仕事でしたし、都心暮らしは便利で不自由はありませんでした。ですが休暇のたびにわはは牧場を訪ねるうち、仕事は楽しいけれど、思い切って環境を変えてみたい、いつしかそうやって移住を思い描くようになりました」

わはは牧場で働かせてもらおう――そう決意したのが2015年。その約1年後の2016年に養父市に移り住み、当時お付き合いをしていたご主人の一幸さんも半年後に養父市に移住。その2ヶ月後にふたりは入籍しました。

「旦那さんは東京出身で、テレビ番組のディレクターをしていました。移住を決めてから引っ越すまでの1年で私の気持ちが変化するのを待っていたようですが、決意変わらず(笑)。仕事を辞めてついてきてくれました。本当にありがたいです。いまは豊岡の映像関係の会社に勤めています」

いち従業員ではなく、家族の一員として

わはは牧場での仕事は朝の日課のあと、この時期は牛や豚の加工品づくりが忙しくなります。

こちらも康成さんがつくり上げた処理場。

取材日は豚の解体作業が行われていた

さらに金曜と土曜はわはは牧場直営の「shop&café があぶう」の運営を任されているとのこと。

木肌を活かしたぬくもりのあるカフェの店内。

食品添加物無添加のベーコン、ソーセージや

カモ肉と豚肉の合挽きコロッケが人気

そうやって充実した毎日を送る山﨑さんに対するご夫婦の思いを聞いてみました。

「友香ちゃんがここで働きたいと言ってくれたとき、僕らは大歓迎やったんです。ちょうどカフェの建物ができ上がったタイミングでしたし、次にやりたいこともあって人手が必要なときでもあったので」

そう話す康成さんの言葉を受けて美由紀さんも続けます。

「初めてここに来てくれたとき、友香ちゃんは家族にすっと溶け込んでくれたんです。だからいち従業員ではなく、家族の一員として迎え入れました。何より私たちの思いに賛同してくれているので心強いですね」

三人が向き合うと笑顔が絶えない。本当の家族のよう

都会にはない、自然と共にある暮らし

養父市に移住して約1年。現在、わはは牧場近くの空き家を借りて夫婦で暮らしています。

「田舎暮らしは太陽と共に寝起きしているような感覚で健康的ですね。ご近所さんも親切で、野菜をいただいたり、洗濯物が落ちてもさり気なく干してくださったり(笑)。あと、美由紀さんのまかないのご飯、ものすごく美味いんですよ」と目を輝かせます。

一方で不便なことは、映画をすぐ観に行けないのと近くに図書館がないこと。

「映画が好きでよく観に行っていたのでその点は寂しいですね。でも生活に必要なものは車があれば事足りるし、読みたい本は旦那さんに頼んで豊岡の図書館で借りてきてもらいます。買いものも好きですが、月に何度も行くわけではありませんから。休日を利用して神戸に住んでいる姉を訪ねることもありますね」

今後は「給料以上の働きができるように成長したい」と山﨑さん。

「さらに自分でも稼ぐ力を身につけるために、前職の経験を活かして書く仕事にもチャレンジしていきたいです」と抱負を語ります。

すでに養父市の移住促進パンフレットの制作に携わるなど、理想の働き方の第一歩を踏み出しています。畜産農家の担い手として、編集経験を活かしたライターとして。仕事に暮らしに精いっぱい楽しむ将来展望を描いています。

「shop&café があぶう」の前で記念に一枚

 

文・写真/高橋武男


【牧場概要】
名称:わはは牧場
営業内容:但馬牛繁殖・養豚・アイガモ飼育・食鳥処理・食肉加工販売、アイガモ農法の米作り・麦野菜栽培/「shop&café があぶう」の運営、アーモンズファクトリー(デザイン・イラスト・人形制作)など
所在地:〒667-0321兵庫県養父市大屋町蔵垣393
電話・FAX:079-669-1434
http://www.wa88.jp

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