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【洲本市】この地で夢を叶えた彼が、ワーケーションハブを起点に描く次なる挑戦

2021年5月、洲本市の古民家をリノベーションして生まれた「Workation Hub 紺屋町」。ここでは、与えられた「働き方」に人生を添わせるのではなく、一人ひとりが、「働き方」「生き方」に主体性を持つためのワーケーションを提案しています。この考え方を提唱し、運営しているのが株式会社シマトワークスの代表取締役 富田祐介さん。東京で働いたこともあるという彼が、なぜこの街で起業したのかを伺いました。

「起業したい」という夢のきっかけをくれた淡路島

株式会社シマトワークス 代表取締役 富田祐介さん

「大学は建築学科でしたが、途中から企画って楽しいと思うようになりました。でも仕事として両方できる会社が当時はなくて、自分で会社をつくるしかないと思ったんです」

卒業後、2年限定と決めてフリーランスとなった彼に初めて仕事の機会をくれたのが淡路島。古民家再生を掲げたアートプロジェクトに携わる中で、建築会社でも学んでみたいとの思いが生まれ、東京の建築事務所で働くことになりました。

上京後も淡路島の仲間との交流は続き、次第に東京の仲間も交え淡路島でイベントをすることが恒例になったそうです。

畑にあるビニールハウスを浜辺に設置し、淡路島の食材が楽しめるレストランをつくったというイベントの様子

「東京でも多くの学びがあったんですが、東京ではできないことも、いろんな資源がある淡路島ではできることが魅力的でしたね。この島では、やりたいことを口に出したら夢が叶う。本当にそう思っているんです」

東京時代に淡路島で実施したという漁師町の街歩き
レンガ倉庫を活用したキャンドルナイト

「僕は“自分がわくわくするかどうか”を大事にしているんですが、淡路島で起業するという未知の世界に飛び込む感じが面白いと感じて……。島の皆さんは、何をするにもこっちから投げるボールを全部打ち返してくれるので、自分がチャレンジするならここでやってみたいと思ったんです」

こうして2011年に洲本市に移住し、「淡路はたらくカタチ研究島」の立ち上げ、運営をしながら仕事の基盤をつくり、2014年に株式会社シマトワークスを設立したのです。

働き方を整えてくれたベトナムでの経験

移住先で仕事も暮らしも満喫していた富田さんの転機となったのが2017年頃のこと。

「ずっと淡路島にいるがゆえに、目が雲ってきたと感じる出来事があったんです。これは感度が落ちているから、僕自身を代謝しないといけないと思いました。その時に奥さんと話をしていて、いつか海外に行きたいと言ってたけどそれは老後ではなく、今なんじゃないかと思ったんです」

滞在していたというベトナム南部にあるリゾート地ニャチャンの街の様子

そこで早速、2018年の1月からベトナムのニャチャンに1カ月ほど、仕事をしながら滞在したそうですが、ベトナムを選んだのには理由がありました。

「1回で終わらせる1カ月の旅なら世界中どこでもよかったんですが、暮らしとして定着させたくて……。だから物価が高くなく、オンラインで仕事ができる日本との時差が2~3時間以内のところを探したんです」

ベトナムでは、打ち合わせはオンラインのため時間管理がしやすく、日常生活にゆとりができたことで、働き方が大きく変化したとのこと。

「仕事のクオリティを上げたり、忙しすぎて雑になっていた部分に集中できたりと、1カ月間ですごく仕事がはかどりました。働き方も整うし、“今後、こんなふうに生きたい”という家族との対話も増えましたね。運動のインターバルのように、休むのではなく歩いて呼吸を整えて次のダッシュに向けて準備するイメージで、暮らしと仕事にインターバルをおく、そんな生き方ができたことが思った以上によかったです」

この経験を淡路島で実践しようと2021年5月にワーケーションハブをオープンしました。

レトロな風貌を活かした「Workation Hub 紺屋町」の外観

10年先も、もっとこの街を面白く

現在、「Workation Hub 紺屋町」の1階個人向けワーキングスペースには20人程度、2階企業向けスペースには3社が活動し(2021年12月現在)、島の人と外の人をつなぐ場にもなっています。

「Workation Hub 紺屋町」1階のカフェで働く富田さんの妻(左写真・中央)は、コピーライターとしても活動中
2階にはゆったりとした長机があり、会議用の個室も準備されています

「徒歩圏内に海や山などの自然、城など歴史を感じる文化、商店街には銭湯や深夜まで楽しめる飲食店もあり、ほどよく暮らしを楽しめる田舎は実はあまりないのでは」

そうこの街の魅力を語る富田さんは、城下町でもあった洲本市はもっと面白くなるポテンシャルがあり、気軽に引っ越しできるのではと話してくれました。

城下町である洲本市の風景

「今、わくわくしていることは、自分たちが住んでいるこの街をここ10年くらいでどうやって面白い街にできるか考えること」

春には新たに2社がこのワーケーションハブにやってくるという話もあるようで、わくわくの連鎖はこれからも広がっていきそうです。

奥にもスペースがあり、有機野菜を育てているという裏庭も

今回、富田さんのお話から気づかされたことは、移住が夢を叶えるゴールではないということ。移住先で生まれた人や場所とのつながりが深まることで、新たな夢が生まれていくのかもしれません。

移住者インフォメーション

移住者  株式会社シマトワークス
代表取締役 富田祐介
移住年  2011年
出身地  神戸市垂水区
移住先  洲本市
活動拠点
Workation Hub 紺屋町
洲本市本町7-1-32
株式会社シマトワークス

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