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【丹波篠山市】地域の価値を世界へ届ける仕事を目指し、移住先の宿場町と紡ぐ新たな夢

今、個性的なスキルを持った移住者が集い、賑わいをみせているのが丹波篠山市にある福住(ふくすみ)。江戸時代の面影が残る宿場町と美しい田園風景が共存しているエリアです。ここに軒を連ねる店は、イタリア・トスカーナ地方の料理が楽しめるトラットリアやオーガニックにこだわったパン屋、写真家のギャラリーなど多種多様。そんなこの地で移住者と地域との橋渡し的役割を担っているのが安達鷹矢さんです。自身も2011年に移住した後、株式会社Local PR Planを設立。今回は、彼がどのような思いで、このエリアで事業を行っているのかに迫りました。

地域にプラスになるビジネスモデルを作りたいと移住

株式会社Local PR Plan 代表 安達鷹矢さん
「SHUKUBA」には養蜂家、染色家、牛革作家、写真家などいろいろな方が入居しています

現在、安達さんが会社の拠点としているのが元福住小学校を改装した廃校活用施設「SHUKUBA」。その中にある旧音楽室に安達さんのオフィスがあります。

現在、このエリアで移住のコーディネートや中小企業のプロモーションなどを行っているという安達さん。

「大学の時に旅をしていて、地方でいいものを作っているのに売れなかったり、廃業していくお店に出会ったんです。そんなこともあり、いいものを世に出す仕事がしたいと思いました」

2010年当時、地方の中小企業が戦っていくならネットしかないと思い、楽天株式会社に入社。しかし、地方のPRをしても、収益が東京に流れていることに違和感を覚えたそうです。

「これは違うと思った時に、一般社団法人ノオトの古民家再生プロジェクトを見て、これはいいものに付加価値を付けて地域も喜ぶ活動だと思いました。古民家再生というよりは、地域にとってプラスになるビジネスモデルを作ることに興味があったんです」

平日は都会で働き、休日は田舎でリラックスするという生活に矛盾を感じたことも移住への後押しになったそうです。「いろいろなところに行くより、同じ地域で深堀りし、ステージが変わっていくのが面白い」と語ります。

ノオトの担当として安達さんが関わった古民家再生の仕事の一つ、イタリアンレストラン「トラットリア アルラグー」

宿場町に紡ぎだされる、新たなストーリー

再生された古民家が立ち並ぶ宿場町のメインストリートには、移住してきた方が多数お店を構えています。ここに暮らす人たちのことを熟知している安達さんにこのエリアを案内していただきました。

マウンテンバイク界で有名な方が経営する自転車工房
クラフトビアパブ ※パブの営業は休止中(2022年1月現在)
安達さんが妻と経営しているショップ「Littleaf」
ノオト(株式会社NOTE)が開発した古民家ホテル「NIPPONIA」

その中でも印象的だったのが無農薬にこだわった厳選素材で天然酵母パンを焼くベーカーリーカフェ「なりとぱん」です。

「なりとぱん」の店主 伊勢さん

大阪から移住して2年という「なりとぱん」の伊勢さん。このエリアに店舗を構える「マグナムコーヒー」にパンの配達をするうちに、ここに住む人の良さや空気感、自然環境に惹かれ、移住したいと思いましたが、最初は思い悩んだと言います。

「このまちに通っている時から今店をしている物件のことを知っていて、すごく気に入っていたんです。ただ、自分で古民家を全部リノベーションするのは難しいと思っていて……。そんな時、大家さんから提案があり、安達さんが間に入ってうまく調整してくれました。安達さんがいなかったら多分、ここに来ていなかったですね」と話す伊勢さん。

一方で、安達さんも「こういう腹の据わった方を地元に紹介すると話が早い」と言います。「あまり用意してあげるより、腹の据わった人がやりかけた時にピンポイントでサポートする方が結局長く居てくれる」と、これまでの経験からそんな話も飛び出しました。

「なりとぱん」のパンは無農薬小麦100%

賑わいをみせているこの通りですが、一時はほとんどのお店が暖簾を降ろしていた時期も。しかし、今は毎年のように面白い人が移住してくるようになり、店の数も増えてきました。

地域の人たちのベストを目指し、これからも挑戦は続く

車を使えば大阪や京都、神戸などから1時間半程、意外と都心にアクセスしやすい地域である福住。古くから宿場町で栄えてきたこともあり、住民の気質もオープンで、外から人を呼んでくることに対してのハードルが低く、早くから移住者を迎え入れる土壌ができていました。地域の人たち主導でのまちづくりや移住促進活動も安達さんが移住してくる前から盛んでした。今は、むやみに人を集めるだけ、移住促進をするだけでない、次に向けての新たなフェーズに入っているといいます。

「ここを職人の集う宿場町として再生したいんです。職人さんたちが仕事に集中できるよう、苦手な経理や申請などをサポートする組合を作りたいと考えていて……。三方良しじゃないですけど、ここにお客さんが来れば来るほど、自分たちの生活が豊かになって、職人さんの仕事も生まれて、地域も合わせて儲かったり課題が解決されるような仕組みを作りたいですね。立地条件が良い地方なので都市部にも販売しやすいですし、組合でECも駆使して稼ぎ、より良いものづくりに集中できるようにしていきたい」

「1年で収益を上げるとか、1年で元手を回収するのではなく、まちのことを知って、交流しながら、5年、10年かけて、世の中に良いものをビジネスにしていきたいと思っています。もともとこのまち自体が400年、500年かけてできているもの。なのに、2、3年で変えていこうとすると都市部の開発と同じになってしまう」

そんな安達さんの思いもあって、土地にあったスピード感とクオリティで新たな価値が生まれている福住のまち。宿場町のDNAを引き継ぐ開放的な地元の人との両輪で、安達さんの挑戦は続きます。「地域の人たちにとってベストな環境をどう作るかが自分の仕事で、それが楽しい」と語る安達さんの輝いた目が印象的でした。

移住者インフォメーション

移住者   株式会社Local PR Plan
代表    安達鷹矢
移住年   2011年
出身地   大阪府高槻市
移住先   丹波篠山市
活動拠点  福住

【会社 事務所】
文化と暮らしの学校「SHUKUBA」
兵庫県丹波篠山市福住342 3F旧音楽室

【セレクトショップ】
Littleaf
兵庫県丹波篠山市福住378

【一棟貸し宿】
NIPPONIA 後川 天空農園
兵庫県丹波篠山市後川新田283

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