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しごと・就職【淡路市】大阪の大学を卒業後、淡路島にUターン就職

Uターン経験者だからこそできるアドバイス

ミツ精機株式会社

小川隆史さん

大学進学で大阪に。卒業後は自動車関連会社への就職を目指すも……

来客用の駐車場に車を停めると、目に飛び込んでくる自衛隊のヘリコプターや戦闘機の数々。その存在感と迫力に思わず見入ってしまいます。

自衛隊から貸与された実機が会社敷地内に展示されている

ここは淡路島のミツ精機株式会社。航空・宇宙機器部品や医療機器部品の機械加工を得意とする会社で、淡路島にUターン就職した小川隆史さんの勤務先です。

高知市内で生まれた小川さんは4歳のとき、父親の転勤と共に淡路島の洲本市に引っ越しました。高校時代は理系を専攻し、卒業後は大阪工業大学工学部空間デザイン学科に進学。卒業後にミツ精機に就職することになりました。

「建築を学べば物理全般の知識が得られると考え
建築が学べる学科を専攻しました」と小川さん

「大学のゼミで一輪の電動バイクを製作するなど乗り物に興味があり、当初は自動車産業の技術職を志望したんです。しかし私が大学を出た2011年はリーマン・ショックの煽りを受けた超就職難の時期。名古屋の自動車関連会社を中心に就職活動をしましたが、思うような結果を出せませんでした」

地元へのUターンを決意した理由

最初は「地元へのUターンは考えていなかった」と小川さん。その考えを変えるきっかけとなったふたつの転機がありました。ひとつは大学の就職部から地元企業であるミツ精機を紹介されたこと、そしてもうひとつは名古屋の自動車関連会社の採用試験を受けた際の〝出会い〟です。

「その名古屋の会社の採用担当者は面接の合否に関わらず、求職者に分け隔てなく丁寧に対応されていました。私も大変良くしていただき、『こんな人と一緒に働きたい』と思ったんです。結局ご縁はありませんでしたが、会社に入りたいと思わせる〝人事の力〟に魅了されました」

就活をしていた当時の心境も思い出しながら話す小川さん

それまで技術職にこだわっていた小川さん。ふたつの出来事が同時に訪れ、それまで考えていなかった「人事の仕事」と「地元へのUターン」に気持ちが傾き始めました。

「なぜなら当時ミツ精機が募集していた職種が総務職だったんです。総務課に所属すれば、いずれ人事に携われるかもしれない。自分もあの採用担当者のような人になりたい――そう考えるようになり、ミツ精機の面接を受けて採用していただきました」

仮に名古屋での出会いがなければ、「人事に興味を持つことも、淡路島に帰ることもなかったかもしれない」と小川さん。入社して約7年経つ現在は、後述するように地元にUターンしたからこその働く喜びを感じています。

「ちなみに私の地元は洲本市なので、淡路市が拠点のこの会社のことは詳しくは知りませんでした。ですが国生みの神社として知られる伊弉諾神宮に近いこともあって、『あの飛行機が置いてある会社や』とすぐ分かりましたね」

自衛隊の航空機ファンも見学に訪れるというミツ精機

「人事の仕事がしたい」――上司や社長に直談判

こうしてミツ精機に入社し、総務課に配属された小川さん。当初は技術職に心残りがあったものの、入社3年目に念願の採用業務を任されることになりました。

「会社の飲み会があるたびに、社長や直属の上司である鳥谷課長に『人事の仕事をさせてください』と直談判していたんです。そのジャブが利いたのかもしれません(笑)」

そう話す小川さんの上司で取締役・総務課課長の鳥谷正義さんは、小川さんを次のように評します。

「彼は優しい雰囲気で人当たりも良く、何より人事の仕事がしたいという意欲がありました。それまでは私が採用業務を行っていたのですが、若い彼が窓口になるほうが求職者の方々も安心なのではと考え、採用の仕事を任せることにしたんです」

「彼は経理関係の社内対応もうまくやってくれています」と鳥谷課長

採用業務は学校の挨拶回りから会社説明会の開催、面接対応、求職者とのやり取り、内定式の開催まで多岐にわたります。

会社説明会で参加者に説明をする小川さん

ミツ精機ではUターン就職希望者の採用に力を入れている

鳥谷課長は小川さんの働きぶりを次のように評価します。

「彼は求職者に対してきめ細かくフォローしてくれるので安心です。ご縁があって当社に入社した社員からも、『就活時に小川さんに良くしてもらった』という声を聞きますよ」

そんな小川さんは、「大学時代に学んだ知識や経験が仕事に役立っています」と言います。

「たとえばものづくり企業の当社では、技術的な専門用語が日常的に飛び交います。理系の知識があるからこそ、ある程度意味が理解できるので助かっていますね」

総務課の皆さんと。オフィスは和やかな雰囲気

Uターン経験者だからこそできるアドバイス

小川さんは地元で働く利点として次の三点を挙げます。

「一点目は金銭的に余裕が生まれること、二点目は地元の経済を支えていると自負できること、三点目は仕事を通じて同級生や先輩・後輩そして恩師などと再会できることです。自分を育ててくれた地元で働き、地域に貢献する――そんな働く喜びを感じられるのは、やっぱりUターン就職したからこそだと思います」

さらに地元・淡路島の魅力を次のように語ってくれました。

「海の幸山の幸が豊富で食べ物が美味しいのはもちろん、神戸などの都市部や関西の主要空港にもアクセスしやすいんです。普段は静かな環境でゆったりと暮らしながら、都市部にもすぐ遊びに行けるアクセスの良さ。この環境と利便性が両立している点が淡路島の魅力ですね」

こうして地元で働く良さを実感する小川さんですが、Uターンを決意した当初は「就活が上手くいかないから地元に帰るのか……」と葛藤があったと言います。しかしそのご自身の経験を活かして現在、地元出身の求職者に伝えていることがあります。

「それはUターン就職をプラスに捉えようということです。仮に他の地域での就活が順調にいかなかったとしても、『生まれ育った淡路島が君には合っているんだと思うよ』と伝えています」

さらにUターン就職に限らず、まずはご縁のあった会社で3年間は頑張って働いてほしいとアドバイスします。「仮に目指していた仕事とは違っても、向き合う中でやりがいを見出せることもあるはずですから」

そんな小川さんの今後の目標は、「ミツ精機をいま以上に家族に勧められる会社にすること」と言います。

「社員が自分の子どもに『うちの会社に働きにおいで』と胸を張って言える会社、あるいは子どもから『お父さんやお母さんの会社で働きたい』と言われる会社――そんな家族に誇れる会社にできるよう、人事の仕事を通じて少しでも貢献できればと思っています」

(文・写真/高橋武男)


【会社情報】
ミツ精機株式会社
〒656-1522
兵庫県淡路市下河合301
TEL:0799-85-1133
http://www.mitsu.co.jp

事業内容/航空・宇宙機器部品の機械加工(ジェットエンジン部品、脚部品、人工衛星の部品を製作)、医療機器部品・その他精密部品等の機械加工及びアッセンブリー

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