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暮らし【新温泉町】帰りたいふるさとを目指し“まち”をデザインする

新温泉町
KOJI OKAMOTO DESIGN OFFICE
代表 岡本剛二さん

27歳という若さで手に入れた人気ファッションブランドのチーフデザイナーの座を捨て、2012 年に東京からU ターン。地元・新温泉町にアトリエ「KOJI OKAMOTO DESIGNOFFICE」をかまえる。ふるさとを、みんなが「帰ってきたい場所」にするため、まちの魅力をデザインしている。

子どもたちが「帰ってきたい場所」を目ざしふるさとのこれからをデザインする

 東京のファッション業界で活躍していた岡本剛二さんは、兵庫県新温泉町にUターンした。岡本さんが地元で新たにデザインする対象に選んだのは、新温泉町というまちそのものだった。

 あこがれの「ABAHOUSE INTERNATIONAL」に入社し、チーフデザイナーにまでのぼりつめた岡本さん。しかしトップともなると、お客さんとの直接的なかかわりも希薄になる。「小さなアトリエでもいいから人とふれあいながらモノづくりをしたい」という思いが次第に強くなった。また帰省するたびにふるさとの元気がなくなっていることにも心を痛めていた。「僕たち世代の多くが田舎を顧みず都心へ出てしまったせいで、地元が衰退していくことに責任を感じていました」

 これまでの経験を生かして故郷を元気にできれば……と2012年、家族とともにUターン。生まれ故郷の新温泉町にアトリエをかまえた。東京で働いていたときから但馬牛革や西脇の播州織など、地方のすぐれた素材や伝統技術を活用した彼の服づくりには人気があった。といっても、安定した有名ブランドデザイナーの座を捨て、地元でゼロから始めることに迷いはなかったのだろうか。

 「いちばんの理由は結婚して子どもが生まれ、親になったから。子どもたちに故郷の楽しい思い出をつくってあげたいと思ったんです。新温泉町は四季の移り変わりを体験できるすばらしいまち。将来、子どもたちが都会に出たとしても、ふるさとが心の糧となり、〝帰ってきたいと思える場所?であり続けるため、まちをデザインしようと決心しました。」

自分の好きなこと、できることから始め、一歩ずつ大きくしたい

地元自治体の制服などのデザインを手がけるかたわら、子どもたちと一緒に作品を制作したり、ランニングで地域の魅力を伝えるサイト「地域を巡RUN?」を立ち上げて情報発信したり、地域活動も精力的に行う。

新温泉町は町名に温泉を掲げているほど、湯量豊富で良質な温泉に恵まれ、多くの世帯が贅沢にも自宅に温泉を引いているという。また豊かな自然にも恵まれ、夏は海水浴、冬はスキーやスノーボード、雪山ウォーキングなど、四季折々の自然のアクティビティを満喫できる。

そんな地域の魅力のなかで岡本さんが核として注力するのは、シーカヤック体験だ。新温泉町は冬、温泉&松葉ガニ目あての客で賑わうものの、夏の集客はイマイチ。そこでジオパークに認定された山陰海岸のロケーションを生かした海のアクティビティで観光客を誘致しようと、2017年5月のスタートにむけて準備を進めている。まず新温泉町に来てもらい、そこから興味・関心を引き出し、町役場の空き家バンク制度と連携して、最終的には移住・定住にもつなげていきたい。シーカヤック事業が軌道にのれば、ガイドビジネスが生まれ、Uターン者やIターン者の雇用も促進できる。移住につながるきっかけづくりのために自分ができることでまちを活性化していきたいという。

しかし課題がないわけではない。物事を進めるスピード、新しいことへの挑戦など、地元の人の理解を得ながら進めるのにはむずかしさもある。「服のデザインよりも、まちをデザインするほうがはるかにむずかしい。しかし高いハードルを超えたいという思いがあるから楽しい。洋服も好きだからこそがんばれた。無理すると持続しないので、自分の好きなこと、できることから始め、一歩ずつ大きくしたい」

夢に向かって一歩ずつ。〝まちをデザインする?ことにより、新温泉町に多くの人を呼び込むことに全力投球している。

※この記事は、兵庫県の委託を受けて株式会社第一プログレスが制作したものです。
(TURNS vol.21 2017年2月号掲載)

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